Episode 04においを嗅ぐと、つい想像してしまう「臭い玉編(膿栓編)」

2017/03/31 10:00

みなさん、こんにちは。におい分析担当の安藤です。

私は日ごろ、食品の香気成分や異臭成分の分析をしています。この業務を始めてから身の回りのにおいに大変敏感になり、会社の窓の外から漂う磯の香りや、すれ違い様にフッと香る人の薫りに「このにおいの成分は何かな?」、「どれくらいの濃度かな?」などと気になってしょうがありません。まるでテレビドラマの『嗅覚捜査官スニッファー』です。ドラマの主人公のように、スゥーッと大きく吸い込みたいところですが、変態扱いされると困るので、考えているフリをしながら小鼻をヒクヒクさせています。
みなさんも身の回りのにおいが気になるという経験がきっとあると思います。そこで、身の回りの気になるにおいを少しずつですが解明していきたいと思います。第1回目はなんと『膿栓』です。

膿栓は俗に言う『臭い玉』で、wikipediaによると《喉の奥にある口蓋扁桃の表面にある腺窩と呼ばれる小さな穴に、剥脱上皮、リンパ球や白血球、細菌塊、炎症性崩壊産物、脂肪酸、コレステリン、燐酸石灰、食物残渣などが溜まることにより形成されます。
大きなものでは直径3~5ミリメートル程度、色は薄黄色、黄緑色または乳白色をしており、潰すと下水道が逆流した際のような、あるいは肥溜の様な強い臭気を放ちます。》だそうです。また、『ためしてガッテン』によると、扁桃にいる免疫細胞がノドから体内に進入しようとする細菌をやっつけた残骸が膿栓で、口呼吸をする人に多いそうです。喉にあるのにひどい悪臭だなんて、いったいどんな成分でしょうか?
そこで、咳をした拍子に飛び出した私の膿栓を、ガスクロマトグラフ/質量分析計で測定し、揮発する成分を同定しました。
期待に違わぬ悪臭成分が検出されましたので表に示します。

膿栓の悪臭成分においの質空気中嗅覚閾値(ppm)
トリメチルアミン腐った魚のようなにおい0.000032
インドール糞便臭0.00030
スカトール糞便臭0.0000056
フェノール薬品臭0.0056
クレゾール薬品臭・糞便臭0.000054
酪酸汗臭いにおい0.00019
イソ吉草酸むれた靴下のようなにおい0.000078
硫化水素腐った卵のようなにおい0.00041

ヒトの嗅覚の特性として、身体の危険に繋がるにおい(腐ったものから発するにおいや物が燃えたりした場合に出るにおい、排泄物等のような不快なものから出るにおい)に対しては嗅覚閾値が低い成分が多いです。
つまり悪臭成分に対しては極低濃度(ppt から ppb)でも感知が可能であり、このことが消臭対策を難しくしている要因のひとつとなっています。

さて、私の喉から飛び出した膿栓の成分ですが、糞便臭を発するスカトールやむれた靴下臭のイソ吉草酸等、・・・悪臭成分の巣窟といっても過言ではありません。なんてこった・・・。におい捜査官を自認している私がスカトールやイソ吉草酸などを喉の奥にため込んでいるなんて。
これらの成分は当然口臭の原因となります。有効な対策といわれている「十分な歯磨き」「こまめな水分補給」「鼻呼吸」を実践し、自分の口臭の影響を受けないようにして嗅覚を向上させようと、分析結果を見て心の中で誓いました。

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